そう 夢を見ていたの

そう

夢を見ていたの

生きていると思った
愛してると思った
死んでいると思った

ただ夢を見ていただけ

あなたを愛してる
と思った
息もできないぐらい
苦しくて
暗い闇を
切なくて
あなたに会いたくて
走った

暗い闇に
足を踏み外して
墜ちていった
ゆっくりと
墜ちていった

あの日わたしは
あの場所で死んだと
思った
もうあなたに
会えないと思って泣いた
涙が虚しく
明けていく空に
墜ちていった

雨が降っていた
夏の雨が降っていた
冬の雨が降っていた
激しい雨が
優しい雨
涙が雨になって
雨が涙になって
やさしく
激しく
流れていた

流れていく時を見ていると
思っていた
未来が何処かに辿り着くと
思っていた
流れ星が流れて
宇宙の何処かにきっと
辿り着くように

雨が降っていた
記憶の中で
何処か遠いところで
何処か遠いところに
あなたは行ってしまう
行かないで
わたしの声は
わたしの声は
もう届かない
あなたの後ろ姿を見ている
あなたには後ろ姿しかない
わたしの声は
わたしにしか届かない


雨の中で
わたしは一人
あなたの優しい腕に抱かれて
そう
ただ夢を見ていただけ

遠くで
雨が降っていた
雨に滲んでいく…
あなたは何処に行ったの?
わたしは何処にいるの?
あなたは生きているの?
わたしは死んでいるの?
愛していたの?


雨の音

雨の音

雨が聴こえていた

雨が聴こえている

聴こえているのは

雨 雨 夢降れ



わたしは…

そう

ただ夢を見ていただけ
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